動物は人間より寿命が短い生き物がほとんどで、ペットを飼えば遅かれ早かれ死を受け入れなくてはならないときがやってきます。ずっと一緒に暮らしてきたペットの死を受け入れるのはとても辛く、しばらく何も手がつかなくなる方も少なくありません。仕事に行くのも辛い、生活にハリが出ずやる気が出ない、いつも頭の中にペットを思い出して泣いてばかりいる、散歩の時間や遊ぶ時間がなくなって外に出ることもなくなって体力的にも衰えてしまう、食欲がなくなるなどの症状を訴える方も多く、これをペットロスと呼んでいます。
ペットロスの内容
ペットロスは誰もが起こるわけではありませんが、誰しも多少なりは悲しみや苦しみを覚えます。亡くなり方によっては酷く後悔をして涙が止まらない場合や、思い出しては謝ってばかりという方もいることでしょう。うっかり目を離して交通事故で亡くしてしまった、体調の異変に気付いてあげられず手遅れになったなどの事情があると、悔いが残ってずっと自分を責めてしまう方もいます。
ペットロスが起こりやすい方として、ペットへの依存が高かった方は要注意です。子供がいらっしゃらず、お子さまの代わりに育ててきたというご夫婦や、お子さまが巣立って寂しさを紛らわすために飼われたといった方をはじめ、最初は好き好んで飼ったわけではなくても、次第に愛情が湧いて亡くなった際には酷く落ち込まれる方も少なくありません。
たとえばお子さまが飼ったペットを就職や結婚などで実家に残していき、代わりに世話をしていた場合のご両親や、小さなお子さまに命の大切さを教えようと飼われたものの、お子さまが可愛がるよりもご家族のほうが世話を積極的に行っていたケースなどの場合のご両親や祖父母などが挙げられます。ペットロスは可愛がっていたお子さまほど影響がありそうな気がしますが、実際には大人の方のほうが圧倒的に多いです。日頃、元気で強くいらっしゃる男の方がよりショックが大きく、落ち込み方も大きいというケースも少なくありません。
ペットロスの克服方法
ペットはいつか死ぬということを踏まえて飼育されることが1つの心構えとして重要ですが、それでも現実に死を受け入れるのはなかなかたやすいことではありません。ではペットロスをどのように克服していけばいいのでしょうか。
最初は無理をする必要はありません。最初の数週間や1ヶ月ほどの間は、毎日思い出しては泣いて過ごすというのも心の葛藤や悲しみを緩和し、浄化していくうえで必要なことです。ですが日常生活をはじめ、仕事や勉強など社会生活にも影響を与えるとなれば少しケアが必要となります。
ケアの方法としては、ペットのことを知っているワンちゃんの散歩友達や近所の方にペットの思い出話や、亡くなったときのことや後悔したことなどを話す、家族でペットのことをとにかく話すという方法がまず挙げられます。内に秘めて我慢するよりも、感情や想いを外に出すことで、悲しみから解放される場合や悔いる気持ちも少しずつ軽減されていくからです。
そして、毎日弔いの時間を設けるといいでしょう。お仏壇などを用意するか、お写真などを飾って、毎日手を合わせたり、お花をあげたり、お線香をあげましょう。そして、ペットへの感謝の言葉や、反省の言葉、謝罪の言葉など伝えたいことを毎日心の中でつぶやいてください。もちろん、口に出して話しかけても構いません。とにかく、生きている内に伝えたかったこと、亡くなったペットに対して伝えたいことを毎日語りかけてあげましょう。天国のペットと会話しているような気分になって、今でも一緒にいるような気がして安心する場合や、自分の後悔の気持ちや悲しみが対話を通じて癒やされていきます。
こうしたご自身やご家族、ご自宅での取り組みでも癒やされないくらい重症な場合はカウンセリングを受けることや心を癒やす場を利用されるのがおすすめです。様々な心理カウンセリングがありますが、最近はペットロスを専門的にケアしてくれるカウンセリングルームなども増えています。カウンセラーご自身も動物が大好きで、ペットの死を乗り越えた経験があるなど、気持ちを理解して心を解き放つためのアドバイスやヒーリングなどをしてくれます。
ペットロスに対応していないカウンセラーでは、いかにカウンセラーといっても気持ちを通じあえない場合があるので、カウンセラー選びは大切です。ペット葬やペット霊園、ペット寺院を利用された場合、そこに専任のカウンセラーがいる場合もありますので問い合わせてみましょう。ペット寺院では住職による説法や法会の機会にペットを弔い、気持ちを静めるお話をしていただける場合もあり、個別に相談に乗ってくれることもあります。
最後にこれも有効な方法ですが、新しくペットを飼うこともペットロスの解決法になります。すぐには飼う気持ちも起こらず、これが最後と思われる方もいると思います。しかしボランティアも兼ねて捨て猫や捨て犬の里親になるなど、動物愛護活動に貢献しながら新たにペットを飼うことで心が癒やされる場合もあります。後悔があった方も同じ失敗を繰り返さないよう、真心込めて新たなパートナーとの暮らしを楽しみましょう。
コメント